今回のテーマは「2023年に仕込みたい米国株」です。2022年の米国株市場は非常に厳しい展開となり、多くの投資家が変動する市場に悩まされました。その中で、2023年に向けてどのような投資戦略を立てるべきか、具体的な銘柄やインデックスを紹介していきます。

2022年の米国株市場の振り返り

2022年の米国株市場は、S&P500が年初来約20%下落するなど、非常に厳しい環境でした。ドル円相場も急激に円安方向へシフトし、日本円をドルに換金して米国株投資を行っていた投資家にとっては厳しい時期となりました。世界的には物価上昇が加速し、アメリカでもインフレが進行しました。これを抑制するために大幅な利上げも行われ、さらにロシア・ウクライナ問題や米中貿易摩擦など、様々な要因が市場に影響を与えました。

守りの投資:ディフェンシブ銘柄の選択

ディフェンシブ銘柄とは、景気動向に左右されにくい銘柄のことで、生活必需品などが該当します。これらの銘柄は、景気の良し悪しに関係なく常に需要があるため、投資リスクを抑えたい時に適しています。例えば、ユニフォームの製造レンタル販売を行うシンタス(ティッカーシンボル:CTAS)や、外注駆除会社のローリンズ(ティッカーシンボル:ROL)などがあります。これらの企業は安定した需要を持ち、収益基盤が手堅いと言えます。

攻めの投資:キャピタルゲインを狙う

キャピタルゲインとは、株価の値上がり益を狙う投資手法です。2022年は債券価格が下落し、通常とは異なる動きを見せました。金利上昇とインフレーションの関係を理解することで、債券価格の動向を予測しやすくなります。また、2022年はハイテク銘柄も値下がりしました。例えば、ナスダック100連動のETF(ティッカーシンボル:QQQ)やバンガード米国情報技術セクターETF(ティッカーシンボル:VGT)などがあります。これらのETFは大型グロース株で構成され、ターミナルレートを意識して値動きを見ていくことが重要です。

長期目線のインデックス投資

米国株のETFは長期で見ると右肩上がりの優れたものが多いです。長期目線で積み立てるスタイルは、個別株投資と異なり、決算確認の手間が少ないため、リスクを分散しつつ安定的なリターンを狙うことができます。例えば、S&P500連動の投資信託や全米株式市場をカバーするVTIなどがあります。これらのインデックスは、アメリカの経済成長と企業の成長の恩恵を受けることができます。

シンタス(CTAS):ユニフォームビジネスの安定性

シンタスはユニフォームの製造レンタル販売を行う企業で、アメリカではレンタル会社が製造し、貸し出して管理まで行うのが一般的です。このビジネスモデルは安定した需要があり、特に企業向けのサブスクリプションサービスとして機能しています。シンタスの株価チャートを見ると、2018年から2022年12月まで右肩上がりの傾向があります。ただし、今後はロボットや無人店舗の普及による影響も考慮する必要があります。

ローリンズ(ROL):外注駆除ビジネスの強み

ローリンズは外注駆除やシロアリ駆除サービスを提供している企業で、S&P500の採用銘柄です。住宅や商業施設との契約が多く、一度契約を結ぶと約80%が継続されるため、収益基盤が非常に安定しています。株価チャートを見ると、2018年から2022年までの間に一貫して成長を続けていますが、2020年後半以降やや難聴となっています。

債券投資:インフレーションと政策金利の関係

債券投資は金利と逆相関の関係にあります。金利が上昇すると債券価格は下落し、インフレーションが進むとそれを抑制するために利上げが行われます。2022年はインフレーションが進行し、FRBが急な利上げを行った結果、債券価格が下落しました。バンガード米国ポータル債券市場ETF(ティッカーシンボル:BND)のチャートを見ると、2022年以降の下落が顕著です。金利上昇局面では、債券への投資も興味深い選択肢となります。

ハイテク株ETFの注目:QQQとVGT

2022年はハイテク銘柄が大幅に値下がりしましたが、長期的な視点で見ると依然として魅力的な投資対象です。ナスダック100連動のETF(QQQ)やバンガード米国情報技術セクターETF(VGT)は、大型グロース株をカバーしており、特にApple、Microsoft、Amazonなどが上位銘柄として含まれています。これらのETFは、ターミナルレートの到達点やその水準が維持されるかどうかで値動きが変わります。

まとめ

2022年の米国株市場は非常に厳しい状況でしたが、2023年に向けては守りの投資、攻めの投資、そして長期目線のインデックス投資の3つのスタイルを検討することが重要です。ディフェンシブ銘柄は安定した収益を期待でき、キャピタルゲインを狙う投資はリスクを伴いますが大きなリターンが期待できます。長期目線のインデックス投資はリスクを分散しつつ、安定的な成長を見込めるスタイルです。

関連する質問と回答

1. ディフェンシブ銘柄とは何ですか?

ディフェンシブ銘柄は、景気動向に影響されにくい銘柄のことで、生活必需品や医薬品、公共事業などが該当します。これらの銘柄は、不況時でも安定した需要があるため、リスクを抑えたい投資家に適しています。

2. キャピタルゲインとは何ですか?

キャピタルゲインとは、株式や不動産などの資産を売却することで得られる利益のことです。投資した資産の価値が上昇した際、売却することで利益を確定させることができます。

3. 債券投資のメリットとデメリットは何ですか?

債券投資のメリットは、株式に比べてリスクが低く、安定した利息収入が期待できる点です。デメリットは、金利が上昇すると債券価格が下落するリスクがある点です。

4. インフレーションと政策金利の関係は?

インフレーションが進行すると、中央銀行はインフレを抑制するために政策金利を引き上げることがあります。これにより、借り入れコストが上昇し、経済活動が抑制されることでインフレをコントロールします。

5. 長期目線のインデックス投資の利点は何ですか?

長期目線のインデックス投資の利点は、リスクを分散しながら市場全体の成長を享受できる点です。個別株のリスクを避けつつ、安定したリターンを期待できるため、多くの投資家にとって魅力的な選択肢です。

投稿者 Nakamura Shinichi