どうもどうもタパゾです。自己紹介はこちら。今回のテーマはこちら、日本高配当株買い時はこれです。
2023年は日本株が好調です。自社株買い実施や増配など、株主還元に力を入れる企業も増えてきました。受け取れる現金が増える増配は嬉しいですね。一方、株価が上昇してくると高配当株の買い時がいつなのか見極めるのは難しくなります。一株あたり予想配当が変わらなくても株価が上昇すると予想配当利回りが低下するからです。ということで、この動画は日本株の高配当銘柄をいつ買えばいいかをテーマにします。早速共に学んでいきましょう。
目次日本の高配当株をETFで知る
高配当株の定義はシンプルです。配当利回りが高い株のことを言います。とはいえ、タパゾ投資大学では配当利回りの値だけで良い高配当株かどうかを判断することを進めていません。配当利回りは一株当たり予想配当を株価で割って算出します。予想配当が変わらなくても株価が下落すれば配当利回りは上昇します。株価が下落するような銘柄はいくら高配当利回りでも持っていたくないですよね。資産運用として利に叶っていません。
日本の高配当株銘柄をどのように絞るか、ここはETFの力を借りると楽です。東京証券取引所には高配当を歌う日本ETFがいくつか上場しています。これらのETFはそれぞれの運用方針に基づいて銘柄選びをしています。
主要な高配当株ETF
いくつか確認してみましょう。まずは野村アセットマネジメントが運用する日経平均高配当株50指数(銘柄コード1489)です。総資産が2000億円近い大型のETFです。1489は日経平均高配当株50指数との連動を目指すETFです。日経平均高配当株50指数は日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成されるインデックスです。組入れ上位銘柄は高配当株と見なしていいでしょう。川崎汽船や商船三井、JTは近年の日本株の代表的な高配当株です。
次はダワーアセットマネジメントが運用するフリーETFトピックス高配当40指数(銘柄コード1651)です。1651はトピックス100構成銘柄を対象に直近1年間の実績配当利回りが相対的に高い40銘柄で構成されます。トピックス100は大型株100銘柄で構成される銘柄群です。ざっくり言うと、日本株の代表銘柄が100銘柄集まったものです。1651は実績配当利回りを使うのが特徴です。ですから1489とは組入れ銘柄上位が大きく異なります。
もう1つ見てみます。GlobalXが運用するGlobalX MSCIスーパーディビ日本株式ETF(銘柄コード2564)です。2020年に設定された比較的新しい高配当株ETFです。一口単位で取引できるので手軽です。2564はMSCI JAPAN高配当セレクト25指数に連動するETFです。限定的な投資対象にして25銘柄で構成されています。かなり銘柄が絞り込まれていますが、時価総額がそれほど大きくない銘柄も組み入れられているところが特徴です。
ETFのパフォーマンス比較
ご紹介した3つの純資産と分配金利回り、信託報酬率をまとめてみました。高配当株の選び方も様々ですが、分配金利回りや信託報酬率にも違いがあることがわかります。3銘柄のパフォーマンスを1年で比較してみました。1489と1651は2023年夏ぐらいからパフォーマンスに差が出ています。1489が高パフォーマンスです。このチャートに1651でウェイトが高い川崎汽船(銘柄コード9107)を重ねるとパフォーマンスの違いの理由が見えてきます。最上位に位置しているチャートが川崎汽船です。1651はこの高パフォーマンス銘柄のウェイトが高いですから、ETFのパフォーマンスは川崎汽船の高パフォーマンスの恩恵を受けています。
ETFの機械的な買い方
さて、これらの高配当ETFが組入れ銘柄をいつ買っているのでしょうか。実はETFは機械的に買っています。タイミングは見ません。投資家がこれらのETFを購入したら、その資金を使ってそれぞれの銘柄の組み入れ比率に応じて銘柄を買っています。それぞれの買い時は考慮していません。高配当株インデックスに連動させる買い方をするので、特定の銘柄を偏って買うようなこともしません。アクティブとは違うインデックスならではの発想ですね。投資でタイミングを測るのは中級以上の投資になりますね。高配当株の銘柄選びや買うタイミングを考えるよりは、ドルコスト平均法で高配当株を買う方が楽でしょう。投資に時間を割くことに抵抗がある人はETFの力を上手に借りるのも手ですね。
高配当株の買い時を狙う方法
高配当株ETFを買う方が合理的なのは分かった。でもマーケットは上がったり下がったりする。個別銘柄だって同じように株価が上がったり下がったりするよね。それなら高配当株にだってやっぱり買い時があるんじゃないの?と思われる方もいるでしょう。ETFを買うことに比べると個別株投資は間違いなく難易度は上がりますが、いくつか鉄板の方法をご紹介します。
配当落ちを狙う高配当株の買い方
1つ目は配当落ちを狙う方法です。配当落ちとはその期の配当を受ける権利が権利確定日の翌営業日をもってなくなることを言います。先ほどご紹介した1489の組入れ第2位のINPEX(銘柄コード1605)を見てみましょう。INPEXは12月末の株主に配当を払う銘柄です。日本株の受け渡しは約定から2営業日後です。2023年12月の最後の受け渡し日は12月29日です。12月30日が土曜日で休場だからです。2023年12月末に配当を受け取る権利を得るためには、29日の2営業日前である12月27日の午後3時までにINPEX株を買っていなければいけません。2023年12月のINPEXの場合、12月28日約定分が配当落ちになります。INPEXの2023年12月末期の予想1株配当は37円です。理論上は12月28日の株価は12月27日の終値より37円下がることになります。ですから1期前の配当を受け取る権利を捨てて、捨てた配当分株価が下がったタイミングで買うという戦略です。
INPEXの1年チャートがこちらです。赤い印は配当落ちです。配当落ちでは株価がやや下げていますね。もちろん株価はその他の要因でも日々値動きしています。ですから理論通り株価が変化するとは限りません。配当落ち狙いは比較的分かりやすいです。権利確定日があらかじめはっきりしているからです。高配当株の権利確定日を把握しておくといいでしょう。銘柄によって年1回の配当、年2回の配当、それ以外などと様々です。銘柄の癖のようなものも見ているとつかめてくるでしょう。
マーケット全体が大きく下落した局面での買い方
2つ目はマーケット全体が大きく下落した局面です。これは高配当株だけではなく、多くの銘柄にとって結果的に買い得になっていたことが少なくないケースです。例を確認しましょう。近年の日本株高配当銘柄の代表選手JT(銘柄コード2914)です。濃い色がJT、薄い色はトピックスです。赤くまるで囲ったところはトピックスが下落した局面です。JTの下げ方がトピックスと同じにはなりません。しかしJTの株価も下落して、その後上昇に転じています。マーケット全体が下落するような局面では、その銘柄の属性に関係なく売られることがよくあります。一方、難調なマーケットでは高配当株は買われることが多いです。難調マーケットでキャピタルゲインを狙いづらくなると、インカムが好まれるということです。マーケット全体が下落した後、難調に推移したとしても、相対的には高配当株が投資家に好まれて買われる傾向があります。結果、株価は大きく下げないことが少なくないです。ちょっとしたいい副作用ですね。
この戦略を実現するためには準備が必要です。マーケット全体の下落はいつやってくるか分からないからです。マーケット全体が下落した時に買う銘柄をあらかじめ決めておくといいでしょう。そして資金をあらかじめ用意しておくことが必要です。
トピックスをアンダーパフォームしている局面での買い方
3つ目はトピックスをアンダーパフォームしている局面です。こちらは三菱UFJフィナンシャルグループ(銘柄コード8306)の5年チャートです。濃い色が三菱UFJフィナンシャルグループ、薄い色がトピックスです。三菱UFJフィナンシャルグループは日本で1番規模の大きな金融グループです。三菱UFJフィナンシャルグループは過去5年のうち最初の3年程度トピックスをアンダーパフォームしていました。一方、この期間もきちんと配当を出していました。2020年の3月には株価は400円を切っており、予想配当利回りは6%以上でした。予想配当利回りだけで高配当株を買うのはお勧めしません。とはいえ、三菱UFJフィナンシャルグループは日本で屈指の大型株です。株式市場全体が上昇する時は大型株から恩恵を受けます。そのような銘柄であればトピックスをアンダーパフォームしている時に配当利回りを指標に買っておくのは1つの戦略です。長く持っていれば含み益に転じる可能性もあります。
単元未満株取引で分散買いをしてみる
高配当株の買い方はあります。しかし、そのタイミングを逃してしまうこともしばしばあるでしょう。また、単元株での金額が大きくて躊躇してしまうことがあるかもしれません。ならば、こんな買い方はどうだろうというご提案です。日本株は100株単位で取引します。単位株ですね。2018年10月1日以降、全国の取引所では株式の売買単位が100株に統一されました。表示されている株価に100をかけた金額が必要になります。しかし、証券会社によっては制約付きで一株単位で取引できます。単元未満株式取引とか単株取引と呼びます。証券会社ごとに相性もあります。SBI証券であればS株です。楽天証券は株ミニです。マネックス証券はひとかぶです。1日の約定回数や約定タイミング、取引できる銘柄などについてサービスの違いがあるので利用する前に確認してみてください。こちらはSBI証券のS株の例です。また、差し値注文はできないので買いたい値段で買うことはできません。このサービスを使えば1株ずつ、5株ずつといった小ロットでの注文が可能です。小ロット買いで時間を分散することでタイミングを考えずに高配当株を買っていくという手もあります。少額でも配当はきちんと受け取れます。
SBI証券のフロッギーは約3900銘柄を100円単位で買えるサービスです。1株ずつ買うのではなく金額単位で買うので投資信託の金額指定取引と似たような取引方法です。いずれも100株であればある程度まとまった金額が必要な銘柄も小分けに変える方法です。まとまった金額を投資するのは勇気がいるという場合に選択肢になるでしょう。
買う時にはこんなことにも注意
高配当株を買う時に注意したいことが2つあります。1つ目は株価がダラダラと下げ続けているような銘柄を避けることです。1つチャートをご覧ください。ある日本株です。期間は10年です。直近の配当利回りは3%台半ばです。高配当とは言えませんが、小さいわけでもない水準です。株価の上げ下げはあるにせよ、約5年前の高値からは下落基調です。買うタイミング次第では大きな含み損になっていそうなチャートです。3%の配当をもらっていても3%以上の株価の下落を食らうのは投資としては本末転倒です。長期的に右肩上がりの銘柄を買うのが高配当株でも大事なことです。
2つ目はできれば大型株を買うことです。日本株であれば時価総額1兆円が目安になります。この目安に該当する銘柄は日本株では160銘柄程度しかありません。日本株市場にはおよそ4000銘柄が上場しています。大型株はその4%程度しかないということです。こちらは東証プライム市場上場銘柄を予想配当利回りでランキングしたものです。この10銘柄の中に時価総額が1兆円以上の銘柄は1つもありません。水準を1/10にして1000億円以上にしても2銘柄しかありませんでした。
大型株を進める理由はこちらのチャートをご覧いただければ分かると思います。赤が大型株、青が中型株、緑が小型株です。小型株には残念な特徴があります。1度株価が下落すると戻りにくいことです。チャートの真ん中あたりで緑色が大きく下落し、そこから右側は冴えない展開です。小型株が優位な局面はもちろんあります。しかし、そこで手放せないとズルズル下に行きがちです。
日本株取引の主なプレイヤーは外国人投資家です。外国人が日本株を買おうと思った時に真っ先に思い浮かべる銘柄は何でしょうか。それは私たち日本人が米国株といえばで思い浮かべる銘柄の理屈と同じです。多分、多くの日本人はAppleやMicrosoft、NVIDIAといった名高くて時価総額が大きい銘柄を思い浮かべる