新しいNISAの成長投資枠が提供する多様な投資機会の中で、高配当株に関心を持つ投資家も多いでしょう。しかし、高配当株への投資には注意が必要です。この記事では、新しいNISAでインカム目当ての投資を行う際に知っておきたいポイントについて詳しく解説します。この記事を通じて、高配当株投資のリスクと進め方を理解し、賢明な投資判断ができるようサポートします。

配当金と分配金の違い

配当金は企業が利益の一部を株主に還元するものであり、株式を持っている投資家に支払われます。しかし、すべての企業が配当金を支払うわけではありません。企業によっては利益を再投資や内部留保に使い、配当金を支払わないこともあります。

一方、分配金はETFや投資信託から支払われるもので、運用会社の判断で金額や頻度が決まります。配当金は全額課税対象となりますが、分配金は利益部分と元本の払い戻し部分が区別されており、利益部分のみが課税対象です。

この違いを理解することで、自分の投資戦略に適した収益源を選びやすくなります。

新しいNISAとインカムの受け取り方

新しいNISAで得られる配当金や分配金は一部の例外を除いて国内では非課税です。ただし、外国株式やETFの場合は外国税が課税されるため注意が必要です。NISA口座でインカムを非課税で受け取るためには、配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。

他の受け取り方法(配当金領収書方式や登録配当金受領口座方式)では課税されてしまうので、必ず事前に設定を確認し、変更しておきましょう。証券会社のホームページから簡単に変更できるところが多いので、速やかに設定を確認してください。

高配当株とは

高配当株は一般的に配当利回りが高い株式を指します。配当利回りは「1株あたり年間予想配当金 ÷ 現在の株価 × 100」で計算され、株価の変動によって配当利回りも変わります。例えば、1株あたりの年間予想配当金が300円で現在の株価が1000円の場合、配当利回りは3%となります。

配当利回りが3%から4%以上であれば高配当株と見なされることが多いですが、配当利回りが高い銘柄でも注意が必要です。株価が下落すると高配当株になりやすく、リスクも増えるため、単に利回りだけで判断してはいけません。

高配当株のリスク

高配当株は一見魅力的ですが、ある日突然高配当株ではなくなることがあります。例えば、青空銀行の例では、市販期に一度配当を出していたものの、ある決算で無配を決定し、株価が急落しました。このように、企業の業績や経営方針の変化により、配当が減少すると株価も大きく下落し、投資家のインカムとキャピタルが同時に減少するリスクがあります。

さらに、NISA口座では損益通算ができないため、含み損が出た場合に他の利益と相殺できないというデメリットもあります。これにより、損切りがためらわれ、含み損を長期間抱えることになるかもしれません。

連続増配株に着目する

高配当株のリスクを避けるためには、配当利回りの高さだけでなく、配当の継続性や増配の履歴に着目することが重要です。連続増配株は、配当額が継続的に増加している企業の株式であり、安定したインカムを期待できます。

米国株であれば、S&P500配当貴族指数が参考になります。この指数は、25年以上連続で増配している企業で構成されており、信頼性の高い銘柄が揃っています。また、日本株であれば、日経連続増配株指数が参考になります。こちらは、10年以上連続して増配している企業を対象にしています。

連続増配株の探し方

連続増配株を探す方法として、米国株の場合はS&P500配当貴族指数を参考にするのが良いでしょう。GlobalX社が運用する「GlobalXS&P学配当貴族ETF(銘柄コード:2236)」に連動するETFを利用することができます。このETFに組み入れられている銘柄は公開されているため、簡単に確認できます。

日本株の場合は、日経連続増配株指数を参考にすると良いでしょう。この指数は、10年以上連続して増配している企業を対象にしており、採用銘柄も公開されています。

資産形成中の投資戦略

資産形成中の投資家は、インカムを重視するよりも資産の成長に注力することが重要です。インカムを再投資することで非課税枠を使い切ってしまうため、インカムがない方が非課税投資枠を有効に活用できます。

また、インカムを出さない商品(再投資型)に投資することで、複利効果を最大限に活用することができます。資産形成期には、運用効率を重視し、インカムを出さない商品に投資することをお勧めします。

インカム目的の投資戦略

一方、資産形成が進み、キャッシュフローが必要になる段階では、インカムを重視した投資戦略が適しています。特に、公的年金の受給が始まる50代以上の方や既にFIRE済みの方にとって、NISA口座でインカムを非課税で受け取ることは大きなメリットです。

例えば、1200万円を投資して年3%のインカムを得る場合、新しいNISA口座であれば年間36万円を非課税で受け取ることができます。課税口座であれば28万7000円程度となり、その差は年間7万3000円です。この差額は決して無視できない金額です。

新しいNISAの売却後の元本復活ルール

新しいNISAでは、売却後に元本が復活するルールがあり、これを活用することでインカムを受け取り始めるタイミングを調整することができます。インカムが必要になる年齢に近づいたら、成長投資枠で運用してきた商品をインカムを受け取れる商品にスイッチすることが可能です。

売却した年から元本が復活するため、計画的に売却と再投資を行うことで、非課税枠を最大限に活用できます。

関連する質問と回答

1. 新しいNISA口座で配当金を非課税で受け取る方法は?

NISA口座で配当金を非課税で受け取るためには、「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。この方式では、保有する株式の配当金が証券総合口座に配分され、非課税で受け取ることができます。証券会社のホームページから簡単に設定できます。

2. 高配当株のリスクとは何ですか?

高配当株のリスクは、配当が減少することで株価が急落し、インカムとキャピタルが同時に減少することです。また、NISA口座では損益通算ができないため、含み損が出た場合に他の利益と相殺できないというデメリットもあります。

3. 連続増配株とは何ですか?

連続増配株とは、配当額が継続的に増加している企業の株式を指します。米国株であればS&P500配当貴族指数、日本株であれば日経連続増配株指数が連続増配株を探す際の参考になります。

4. 資産形成中の投資戦略はどうすべきですか?

資産形成中の投資家は、インカムを重視するよりも資産の成長に注力することが重要です。インカムを再投資することで非課税枠を使い切ってしまうため、インカムがない方が非課税投資枠を有効に活用できます。また、インカムを出さない商品(再投資型)に投資することで、複利効果を最大限に活用できます。

5. 新しいNISAの売却後の元本復活ルールとは何ですか?

新しいNISAでは、売却後に元本が復活するルールがあります。これにより、インカムが必要になる年齢に近づいたら、成長投資枠で運用してきた商品をインカムを受け取れる商品にスイッチすることが可能です。計画的に売却と再投資を行うことで、非課税枠を最大限に活用できます。

投稿者 Nakamura Shinichi