NISA口座で課税される場合を徹底解説

NISA制度が使いやすくなったことで、多くの方が投資を始めやすくなっています。しかし、NISA口座で株を買ったのに配当金に課税されるといった話を聞いたことがあるかもしれません。この記事では、NISA制度の基本から非課税のはずのNISAで課税される場合について詳しく解説します。

まずはNISA制度についておさらいしましょう。2014年1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、投資から得られる利益が非課税となる制度です。通常、株式や投資信託の売却益や配当金には約20%の課税が発生しますが、NISA口座での投資にはこの課税が発生しません。2024年からはNISAのルールが変更され、さらに使いやすくなりました。

1. 新しいNISAのルール

NISA制度は2024年からさらに使いやすくなりました。以下の6つのポイントを押さえておきましょう。

1. 非課税保有期間が無期限に

以前のNISA制度では、非課税で保有できる期間が限られていましたが、2024年からはこの制限がなくなります。

2. 口座開設期間が高級化

2023年までのNISAは期間限定の制度でしたが、2024年からは18歳以上であればいつでもNISA口座を開設できます。

3. 積立て投資枠と成長投資枠の併用が可能

現在のNISAでは、積み立て投資枠と成長投資枠を併用することができます。これにより、積み立て投資を続けながら個別株にも一括投資が可能になります。

4. 年間投資額が最大360万円に拡大

2024年からは、積み立て投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円に拡大され、合計で年間360万円まで投資が可能になります。

5. 非課税保有限度額が最大1800万円

生涯を通じての非課税保有限度額が1800万円に設定されました。ただし、成長投資枠の上限は1800万円中1200万円です。

6. 非課税保有限度額の再利用が可能

商品を売却した場合、翌年以降に売却した商品の取得金額の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。

2. 配当金に課税される場合

NISA口座で株を買ったのに配当金に課税されるという事象は実際にあり得ます。上場株式の配当やETFの分配金は、受け取り方を間違えると課税されてしまうのです。

配当金や分配金の受け取り方には次の3種類があります。

1. 証券口座での受け取り(株式数比例配分方式)

株式の配当金等を証券口座にて受け取る方法です。同一銘柄を複数の証券会社で保有している場合、各証券会社の株式保有残高に応じて配当金が入金されます。

2. 銀行口座等での受け取り(登録配当金受領口座方式)

複数の証券会社に口座を持っていても、指定した1つの金融機関の口座で全ての配当金を受け取る方法です。

3. 郵便局等での受け取り(配当金領収書方式)

銘柄ごとに直接発行会社から配当金領収書等を受け取り、郵便局等で配当金を受け取る方式です。

2か3を選択している場合は課税されます。日本証券業協会も周知を図っており、証券口座での受け取りを選ぶと非課税となります。受け取り方法の選択はオンライン証券でユーザーが設定でき、特定口座や一般口座にも統一されます。

3. NISA口座で非課税にならない税

NISA口座でも非課税にならない税があります。米国株や米国ETFに投資して受け取る配当金や分配金には別途10%の現地厳選徴収税が発生します。この部分の税金はNISAで非課税になりません。

課税口座で米国株や米国ETFに投資して受け取る配当金や分配金は、米国の税と日本の税が課税されますが、NISA口座では日本の税が非課税となるため、米国の税は確定申告で完封を受けることができません。このルールは他の国の株式投資でも同様です。

4. 金融所得と社会保険料の関係

金融所得と社会保険料の関係についても触れておきましょう。金融所得が増えると、社会保険料が増える可能性があります。厚生労働省が株の配当などの金融所得も保険料の算定対象に含めることを検討しています。

社会保険料の決まり方

社会保険料は基本的に所得に応じて決まります。国民健康保険料は世帯人数と前年の所得に基づき、介護保険料は世帯の課税状況や前年の所得に基づいて計算されます。

金融所得を社会保険料の算定基準に含むことが検討されているのは、支払い能力に応じた負担を実現する狙いがあります。現役世代と高齢世代の間で負担をどのように分担するかが課題となっています。

5. 確定申告と金融所得

金融所得は原則として確定申告が必要です。しかし、特定口座を使い税を厳選徴収する場合は確定申告の必要はありません。これにより、確定申告が不要の人の金融所得は社会保険料の算定に含まれません。

一方、確定申告が必要な取引をしている人の社会保険料は金融所得も含めて計算されます。このため、同じ金融所得があっても確定申告をしている人としていない人で社会保険料の負担額が異なることになります。

6. NISA口座の扱い

NISA口座の運用益は資産形成を促進するために非課税となっているため、社会保険料を左右する金融資産の対象とはしない方針が示されています。NISA口座での資産形成中の方は安心して利用できます。

しかし、NISA口座の扱い以外に関しては明確な方針がまだ出ていません。2028年を目に金融所得の反映を決定するかどうか検討が続けられていますので、議論の行方を慎重に見守りましょう。

まとめ

金融資産運用と税、社会保険の関係についてお話ししました。NISA口座でも課税されることがあるという点に注意が必要です。配当金や分配金を証券口座で受け取らない場合には課税されますので、株式数比例配分方式を証券会社で指定しておくことが重要です。

また、NISA口座でも外国株式やETFへの投資で得られた配当金や分配金には現地厳選徴収税が発生します。この点も注意が必要です。金融所得が社会保険料を左右するかもしれないという議論も進んでいますが、現時点ではNISA口座での金融所得は対象外となっています。

これからの投資戦略の参考になりましたでしょうか。今後もNISA口座をうまく活用し、資産形成を続けていきましょう。

関連する質問と回答

1. NISA口座で配当金を受け取る際に課税されない方法は何ですか?

NISA口座で配当金を受け取る際に課税されないためには、「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。この方法では、配当金が証券口座に直接入金され、非課税となります。オンライン証券であれば、ユーザーが設定を確認し選択することが可能です。

2. NISA口座でも課税される税金はありますか?

はい、NISA口座でも課税される税金があります。例えば、米国株や米国ETFに投資して受け取る配当金や分配金には10%の現地厳選徴収税が発生します。この部分の税金はNISAで非課税になりません。

3. 金融所得が増えると社会保険料が増えるのですか?

金融所得が増えると社会保険料が増える可能性があります。厚生労働省が金融所得を社会保険料の算定基準に含めることを検討しているためです。ただし、現時点ではNISA口座での金融所得は対象外となっています。

4. NISA口座での配当金や分配金を受け取る方法はどのように設定しますか?

NISA口座での配当金や分配金を受け取る方法は、オンライン証券でユーザーが設定できます。証券口座での受け取り(株式数比例配分方式)を選択することで、非課税となります。この設定は特定口座や一般口座にも統一されます。

5. NISA口座での資産形成に影響する今後の議論はありますか?

はい、あります。金融所得を社会保険料の算定基準に含めるかどうかの議論が進んでおり、2028年を目に方針が決定される予定です。現時点ではNISA口座での金融所得は対象外となっていますが、今後の議論の行方を注視することが重要です。

投稿者 Nakamura Shinichi