新NISA制度が2024年からスタートしました。これにより、投資家の皆様には多くのメリットが提供されますが、使い方を間違えると大きな失敗に繋がる可能性もあります。ここでは、NISA制度の基本を復習し、失敗しがちな6つの例について詳しく解説していきます。

まずはNISAを復習しましょう。NISAとは、株式や投資信託の配当金や分配金、値上がりで得られた売却益が非課税になる国の制度です。通常、投資で得られた利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すればその税金を免除されます。これにより、投資家は得られた利益を全額受け取ることができます。

NISA口座の開設は証券会社等で行い、1人1口座しか持つことができません。2024年からは「新NISA」と呼ばれるリニューアル版がスタートし、新たなルールが導入されました。具体的には、生涯非課税限度額が1800万円に設定され、年間では成長投資枠で240万円、積立投資枠で120万円の合計360万円まで取引できます。また、非課税枠を復活させることも可能です。

ここからは、NISAを利用する際に失敗しがちな6つの例を紹介し、それぞれについて詳しく解説します。

生活防衛資金を投入する

投資は余裕資金で行うべきです。生活防衛資金とは、生活費の6ヶ月分に相当する金額のことです。教育費が見込まれるお子さんがいる場合には、その見込みの教育費も含めて持つべきです。このお金は減らない金融商品で保有するのが望ましいです。万が一の事態に備えて、マーケットの値動きにさらされない現預金でキープしておくことが重要です。

生活防衛資金を持たないと、何か問題が発生した際に投資を取り崩さなければならなくなります。これは特に初心者にとってリスクが高く、資産形成の目的を失う可能性があります。投資は長期間続けることで利益を得やすくなるため、生活防衛資金を確保してから投資を始めることが重要です。

自分の事情を無視して他人の真似をする

他人の投資方法をそのまま真似するのは危険です。同僚が毎月10万円をNISAで投資しているからといって、自分も同じように投資できるとは限りません。収入が同じでも生活スタイルや自由になるお金の金額が異なるため、無理のない範囲で投資を行うことが大切です。

投資はダイエットに似ています。無理なくコツコツ続けることで結果が出ます。リアリティのない金額を毎月投資しようとしても、続かないことが多いです。初心者はまずは少額から始め、値動きに慣れてから徐々に投資額を増やしていくのが良いでしょう。

投資の目的をはっきりさせていない

投資の目的を明確にすることは非常に重要です。目的が明確でないと、投資方針がぶれてしまい、結果として失敗する可能性が高くなります。配当金を非課税で受け取りたいのか、キャピタルゲインを追求したいのか、目的に応じた投資方針を立てることが大切です。

目的は人生設計に寄り添う形で設定しましょう。20代の方と50代の方では、資産形成の目的や資金を必要とする時期が異なります。目的を持って立てた投資方針をぶれさせないことが、投資の成功に繋がります。

ボラティリティが高い金融商品を買う

ボラティリティとは、価格変動の度合を示す言葉で、投資にはつきものです。NISA口座では、ボラティリティが高すぎる商品をお勧めしません。ボラティリティが大きい商品はリターンが大きくなる可能性もありますが、大きく下落する可能性もあります。

NISA口座の特徴の一つは、損益通算と繰り越し控除ができないことです。これにより、大きな損失が出た時に税負担を軽減する仕組みが使えません。ボラティリティが高い商品をNISA口座で持つと、損切りに躊躇し、含み損を増やすことになりかねません。NISA口座にはボラティリティがマイルドな商品が向いています。

投資経験が短い段階で一括投資する

投資経験が短い段階で一括投資をするのはリスクが高いです。マーケットはちょっとしたことで動き、その変動に慣れていない初心者にとってはストレスとなることが多いです。新しいNISAは長期で資産形成をすることを前提とした制度です。長期間続けられるようになるためには、時間分散の方が心理的に楽です。

一括投資は割安の時に行うのが基本です。年初のマーケットが割安であれば意味がありますが、そうでないならば一括投資にはあまり意味がありません。投資経験が短い段階では、リターンの最大化を狙うのではなく、長く続けられるようになることを優先しましょう。

純資産が少ない投資信託を買う

投資信託を取引する際には、純資産総額を確認することが重要です。純資産総額が一定以上でなければ、投資信託を運用し続けることが難しくなり、繰り上げ召喚される可能性があります。純資産総額が30億円以上の投資信託を選ぶことが望ましいです。

繰り上げ召喚とは、予定された信託期間が終了する前に投資信託の運用が終了することを意味します。これにより、思わぬタイミングで所有銘柄が生産されてしまうリスクがあります。純資産総額の規模が運用成績に必ずしも比例するわけではありませんが、一定以上の規模がある投資信託を選ぶことで、このリスクを軽減できます。

まとめとして、2024年にスタートした新NISAを利用する際に失敗しがちな例を紹介しました。生活防衛資金を投入すること、自分の事情を無視して他人の真似をすること、投資の目的をはっきりさせないこと、ボラティリティが高い金融商品を買うこと、投資経験が短い段階で一括投資をすること、そして純資産が少ない投資信託を買うことの6つです。これらの失敗を避けることで、NISAを効果的に利用し、資産形成を成功させることができるでしょう。

関連する質問と回答

NISAと一般口座の違いは何ですか?

NISA口座では、株式や投資信託の配当金や分配金、売却益が非課税になります。一方、一般口座ではこれらの利益に対して20.315%の税金がかかります。NISA口座を利用することで、得られた利益を全額受け取ることができます。

新NISAの年間投資限度額はどれくらいですか?

新NISAの年間投資限度額は、成長投資枠で240万円、積立投資枠で120万円の合計360万円です。この限度額を超えて投資することはできません。

生活防衛資金とは何ですか?

生活防衛資金とは、生活費の6ヶ月分に相当する金額のことです。教育費が見込まれるお子さんがいる場合には、その見込みの教育費も含めて持つべきです。このお金は減らない金融商品で保有するのが望ましいです。

ボラティリティが高い金融商品とは何ですか?

ボラティリティが高い金融商品とは、価格変動の度合が大きい商品を指します。価格が大きく上下するため、リターンが大きくなる可能性もありますが、同時に大きく下落するリスクもあります。

純資産総額が少ない投資信託を買うリスクは何ですか?

純資産総額が少ない投資信託を買うリスクは、繰り上げ召喚される可能性があることです。繰り上げ召喚とは、予定された信託期間が終了する前に投資信託の運用が終了することを意味し、思わぬタイミングで所有銘柄が生産されてしまうリスクがあります。

投稿者 Nakamura Shinichi