2024年が近づいてきました。2022年末から話題になっている新NISAのスタートが近づいています。視聴者さんもそろそろどの金融機関を選ぼうか、どの商品に投資しようかと考えていらっしゃることでしょう。新NISAでどの商品を買うかを考える上で判断要素の1つになりそうなのが配当金や金だと思います。いつだって現金がもらえるのは嬉しいですよね。配当金や分配金を得られるような投資を新NISA口座で行うべきなのか悩んでいらっしゃる視聴者さんがいらっしゃることでしょう。このブログでは新NISAとインカム目的投資の相性についてお話しします。早速共に学んでいきましょう。

新NISA制度をおさらい

まずは2024年にスタートする新NISA制度を簡単におさらいしましょう。NISA枠は積み立て投資枠と成長投資枠に分かれています。トータルの限度額は積み立て投資枠が600万円、成長投資枠が1200万円です。年間積み立て枠は積み立て投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。投資枠は簿価、つまり買った値段で管理します。売却した場合は売却した金額ではなく買った時の値段である簿価の分だけ枠が開くことになり再利用できます。

積立て投資枠で購入できる商品は現行の積立てNISA商品と同様と決まっています。決められたものから選ぶことになります。インデックス連動商品やいくつかの資産分類が混ざったバランスファンドなどが対象商品として指定されています。なお、現行の積み立てNISA対象商品で分配金を出すものはごく一部のみです。一方、成長投資枠には投資対象商品にある程度の自由度があります。上場株式やETFに投資できますので、配当金の受け取りを目的とした投資も可能です。積み立て投資枠も成長投資枠もその投資に対するキャピタルゲインだけではなくインカムも非課税になります。

資産形成期にはインカムを出さない商品が有利

現在資産形成中という方ならば、結論から言うとインカムを出さない商品の方がいいです。仮にインカムを受け取っても日本での課税はありません。しかし、そのインカムを成長投資枠で再投資すると、その再投資金額分さらに成長投資枠を使うことになります。インカムが新たな元本になるのです。これは成長投資枠という概念があるからこその特徴です。資産形成中はインカムがない方が新NISAの成長投資枠を有効に活用できることになります。

また、運用効率の点でも違いがあります。同じ資産構成で運用されている商品にインカムを出すものと出さないものがあったとします。インカムを出さないものはプライスが変化するだけです。しかし、インカムを出すと少なくとも出したタイミングでは運用資産が減少します。投資信託を例にした図をご覧ください。分配金は投資信託の信託財産から支払われます。そのため、分配金が支払われると純資産総額及び基準価額は下落します。基準価格が下落したら自分の保有資産の評価額が減りますね。資金の運用効率という点では分配金を出さない方がベターなのです。いわゆる福利が働く状態です。資産形成期は福利を味方にしたいですね。

インカムを使おうと考えるなら

資産形成には目処がついたとか、近いうちに公的年金を受給するという視聴者さんもいらっしゃるでしょう。そのような方であれば資産を成長させるよりも資産からキャッシュを受け取りたいと考えても不思議ではありません。インカムを公的年金のプラスアルファにする、ファイヤー済みでインカムを生活費にしているというような場合ですね。このような場合はインカムが非課税になるNISA口座での投資が強い見方になります。

仮に1200万円を投資して年3%のインカムを得るとしましょう。新NISAであれば年間36万円を受け取れます。課税口座であれば28万7000円程度となります。その差は年間7万3000円です。決して馬鹿にできない金額です。1200万円を成長投資枠で使い切るには何年か必要です。年初に240万円を一括投資するとしても4年と数日は必要です。それでも人生は長いですから、新NISAを利用する価値は大いにあります。無理のない範囲で成長投資枠を利用してインカムも非課税になる恩恵を受けるといいでしょう。

高配当株投資が向いている人

現在資産形成中の方も、これから先資産からキャッシュが欲しいなと考える時が来るかもしれません。そのような場合は新NISAの売却後元本復活というルールが役に立つでしょう。インカムを受け取り始める年齢を想定します。その年齢に近づいたら成長投資枠で運用してきた商品をインカムを受け取れる商品にスイッチしていけばいいと思います。なお、枠の再利用は売却した翌年からです。枠の利用は受け渡し日ベースで管理されますので、12月に売却するような場合は翌年に空いた枠を使えるよう受け渡しが年内に済むように日付を管理するといいでしょう。

高配当株投資で気をつけたいこと

高配当株といえば配当利回りが高い銘柄を想像しがちです。しかし、配当利回りの高さだけで投資対象を選ぶことはお勧めしません。その理由があります。配当利回りは一株あたり配当割る株価で求められます。一株当たり配当は予想を使うことが多いです。一株当たり配当の値が変わらなくても株価が大きく下がれば配当利回りは高くなります。

米国株で1つ確認してみましょう。以前の動画でも例に出したAT&T(ティッカーシンボル:T)です。米国最大の通信会社で、電話機を発明したグラハムベルが起こした企業にルーツを持ちます。日本で言えばNTTのような企業です。予想配当利回りが7%を超える銘柄です。ものすごい高配当利回りですね。よし、いっぱい買うぞと思ったでしょうか?ちょっと待ってください。S&P500と比較したチャートを見てみましょう。赤がT、水色がS&P500です。AT&Tの1年のリターンは-7.7%です。これでは仮に7.6%の配当を受け取ってもリターンは出ません。配当をたくさんもらえていても株価が大きく下落することでトータルリターンがマイナスになることがしばしばあるのです。これでは投資としてはうまくいっていませんね。

配当利回りではなく配当の額に着目しよう

高配当株といえば配当利回りに着目しがちですが、それでは株価の下落によってリターンを得られないかもしれないとお話ししました。配当利回りは株価が下がると上昇する値でした。一方、配当が増えても株価の上昇が配当の上昇を上回れば配当利回りは低下します。配当が増えて株価も上昇する銘柄の方が投資していて楽しいはずです。資産も増えてインカムも増えます。配当利回りと合わせて見て欲しい要素があります。それは一株あたりの配当金額の過去の推移です。

AT&Tで配当金額の過去の推移を確認しましょう。確認するにはUS版のYahooファイナンスが便利です。ティッカーのTを入力してAT&Tを選んでください。ヒストリカルデータを選択し、タイムピリオドは期間です。とりあえず5年にしました。SHOWは何を見たいかを選択するものです。Dividends Only(配当のみ)を選んでください。感覚はマンスリーを選びましたが、米国株の配当は市販期に1度が一般的です。ですから表示される結果は市販期ごとです。新しい順に表示されます。配当の金額が2022年4月からその1市販期前よりも大きく減っています。かなり減配しているということです。それにも関わらず予想配当利回りが高いということは株価の下落も大きいということです。配当利回りだけを見て投資するとこのような銘柄を掴んでしまいがちになるのです。

連続増配株を探す方法

次に連続増配株を探す方法をご紹介します。米国株であればS&P500配当貴族指数がいいでしょう。この株価指数はS&P500指数の構成銘柄のうち、次の4つの条件を満たした銘柄のみで構成されています。

連続増配が重要な要素です

1. S&P500指数の構成銘柄であること
2. 25年以上連続で増配していること
3. 時価総額が30億米ドル以上であること
4. 1日あたりの平均売買代金が500万米ドル以上であること

配当貴族指数に採用されている銘柄を調べるために便利な商品があります。それはGlobal X S&P500配当貴族ETF(ティッカーシンボル:2236)です。その名の通りこのETFは配当貴族指数に連動させるETFです。運用しているグローバルX社はこのETFに組み入れられている銘柄を公表しています。是非確認してみてください。

米国株や米国ETFに投資するときの注意点

投資対象が米国株や米国ETFの場合、インカムを受け取る時は円建て商品より注意が必要です。新NISAで受け取る配当金や分配金は非課税です。しかしそれは日本での課税分のみです。米国株や米国ETFからの配当金分配金はまず米国で10%の税金が引かれます。残りの90%に対して日本で20.315%の税金が引かれます。新NISAで非課税になるのは日本での20.315%分です。例えば、バンガードS&P500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)から得られる分配金は新NISA口座で買っても10%は課税されます。

特定口座や一般口座でVOOを購入した場合、外国税は確定申告をすれば控除されます。しかしNISA口座はそもそも確定申告の対象ではありません。ですからNISA口座で購入したVOO等のETFや米国株の配当に課せられる外国税を完封してもらう方法がありません。米国株や米国ETFでインカムを追求したい方は是非覚えておいてください。

米国の高配当株への投資を考慮する上で

米国の高配当株への投資を考慮する上で、課税とは別に年頭に置いた方がいいことがあります。それは米国1年国債の金利の推移です。期間は3年です。2023年10月は5%を超えています。これが意味することは、米国の銀行で1年定期にお金を預けたら税引前で5%程度の金利が付与されるということです。預金ですからほぼノーリスクです。

さて、視聴者さんが米国在住者だとします。仮に1万ドル手元にあるとしましょう。年利5%の預金と予想配当利回り5%の株式、どちらかを買わなければいけないとしたらどちらを選ぶでしょうか。多くの人は預金を選びます。人は確実なリターンを好むものです。1万ドルが減ることは銀行が経営破綻しない限りないでしょう。一方、株式は株価の変動リスクと減配リスク両方があります。この想定が正しいとすれば、金利水準が高い間は高配当株と言えども投資家には積極的に好まれないかもしれません。

すでに投資家から高配当株がやや敬遠されつつある傾向が見えています。こちらはバンガード米国高配当株式ETF(ティッカーシンボル:VYM)の1年チャートです。赤がVYM、水色は比較のために入れたS&P500です。2023年3月以降、パフォーマンスに明らかな違いがありますね。2022年はハイテック銘柄が南朝でインカムに魅力を感じる投資家が多く、VYMは好調でした。しかし2023年3月以降は南朝です。配当が魅力的に見える銘柄の集まりでも、無リスク金利が高い時には魅力的には見えないということです。

まとめ

新NISAと高配当株投資の相性をお話ししました。現在資産形成中という方は、インカムを出さない商品の方がいいでしょう。NISAの枠を有効に使えます。運用で得られるインカムが欲しいという方であれば、成長投資枠はインカムが得られる商品で運用して非課税の恩恵を受けた方がいいです。積み立て投資枠は分配金を出す商品が少ないのでインカム受け取り目的の投資には向きません。資金に余裕があるなら資産を成長させる目的で利用するといいでしょう。

高配当株投資は株価の下落で配当利回りが上昇している銘柄を避けるべきです。受け取るインカムが増えていく連続増配銘柄をお勧めしています。新NISAで米国株や米国ETFに投資し、受け取るインカムは国内では非課税です。しかし米国で10%源泉課税されますので覚えておいてください。これからの投資戦略の参考になりましたでしょうか。人生は一度きりです。皆さんの投資活動を応援しています。共に頑張りましょう。

関連する質問と回答

Q1. 新NISAでの高配当株投資はどのような人に向いていますか?

A1. 新NISAでの高配当株投資は、インカムを生活費や公的年金のプラスアルファとして利用したいと考えている人、特に50代以上の方や既にファイヤー済みの方に向いています。資産形成期が終わり、インカムを非課税で受け取ることを重視する場合に適しています。

Q2. 資産形成期にはどのような投資商品を選ぶべきですか?

A2. 資産形成期にはインカムを出さない投資商品を選ぶべきです。インカムを出さない商品の方が新N

投稿者 Nakamura Shinichi