今回のテーマは、2024年からスタートする新しいニーサ制度についてです。新制度に潜むリスクとその対策について詳しく見ていきましょう。
新しいニーサ制度の概要
2024年から一般ニーサが新しい制度に生まれ変わります。しかしながら、クイック資産運用研究所が2021年11月に行った調査によると、新しい制度が始まることを知っている人はわずか36.8%で、さらにそのうちの6割は詳しい変更点を知らないと回答しています。このブログ記事では、新しいニーサ制度の仕組みをわかりやすく解説し、投資戦略にどのような影響を与えるかを見ていきます。
複雑化する新ニーサの仕組みを分かりやすく解説
新しいニーサ制度では、投資枠が2階建ての構造になります。1階部分には年間20万円の積立ニーサ対象商品のみが含まれ、2階部分には年間102万円の上場株式やETF、REITなどが含まれます。1階部分を満額使わない限り、2階部分を利用することができません。しかし、投資経験者は1階部分を使わずに2階部分のみを利用する特別ルールもありますが、その場合には個別株しか購入できないという制約があります。
新制度でのロールオーバーの仕組み
ロールオーバーとは、非課税投資枠が終了した後に新しい非課税投資枠に移すことです。新しいニーサ制度では、一般ニーサからのロールオーバーが複雑化しています。移管する際の時価で判断され、2階部分の枠から優先的に消費されます。これにより、非課税投資枠をフルに活用するためには、時価の変動を考慮に入れる必要があります。
ロールオーバーの具体的なケーススタディ
以下のように、具体的なケースに分けてロールオーバーの仕組みを見ていきます。
ケース1: 時価が122万円を超えている場合
2019年に購入した商品を2024年にロールオーバーする場合、2023年末の時価が140万円であれば、2階部分の102万円、1階部分の20万円が消費され、残りの18万円分もロールオーバー可能です。新規投資枠はなくなりますが、全額ロールオーバーが可能です。
ケース2: 時価が102万円を超え122万円以内の場合
2019年に購入した商品を2024年にロールオーバーする場合、2023年末の時価が110万円であれば、2階部分の102万円、1階部分の8万円が消費されます。残りの12万円分は新規投資枠として積立投資が可能です。
ケース3: 時価が102万円以内の場合
2019年に購入した商品を2024年にロールオーバーする場合、2023年末の時価が100万円であれば、2階部分の102万円枠内で収まり、1階部分の20万円分が新規投資枠として残ります。
神ニーサに潜むリスクと対策
新しいニーサ制度にはいくつかのリスクが潜んでいます。以下の5つのポイントに注意が必要です。
ロールオーバーの手続きが必要
非課税期間終了後にロールオーバーを希望する場合、証券会社に非課税口座内上場株式移管依頼書を提出する必要があります。うっかり手続きを忘れると課税口座に移され、税金が発生する可能性があります。
証券会社を変えられない
ロールオーバーをする場合、同一の証券会社でのみ移管が可能です。他の証券会社への移管はできないため、ニーサ口座を開設する証券会社を慎重に選ぶ必要があります。
ロールオーバーできない商品がある
新しいニーサでは、レバレッジのかかった投資信託や上場株式の監理銘柄、整理銘柄が対象外となります。これらの商品を一般ニーサで購入している場合、非課税期間終了後にロールオーバーできないため、売却や課税口座への移管を考える必要があります。
神ニーサで購入した分が5年後に全額ロールオーバーできるとは限らない
2029年以降、新しいニーサが延長されるかどうかは未定です。したがって、2024年に購入した商品が5年後に全額ロールオーバーできるか確約されていません。未来のことが分からない以上、長期的な投資計画を立てる際にはこの点を考慮に入れる必要があります。
神ニーサから積み立てニーサへのロールオーバーのルールが異なる
神ニーサから積み立てニーサへのロールオーバーの場合、時価ではなく購入価格で非課税投資枠が消費されます。これにより、値上がりした商品を有利な条件でロールオーバーすることができます。
関連する質問と回答
新しいニーサ制度で一番大きな変更点は何ですか?
新しいニーサ制度では、投資枠が2階建ての構造になり、1階部分には年間20万円の積立ニーサ対象商品のみが含まれ、2階部分には年間102万円の上場株式やETF、REITなどが含まれます。
ロールオーバーの手続きはどのように行いますか?
ロールオーバーを希望する場合、証券会社に非課税口座内上場株式移管依頼書を提出する必要があります。各証券会社のウェブサイトで手続きを行うことが可能です。
新しいニーサ制度ではどのような商品が対象外になりますか?
新しいニーサ制度では、レバレッジのかかった投資信託や上場株式の監理銘柄、整理銘柄が対象外となります。また、ヘッジ目的のデリバティブ取引による運用を行っているものも購入できません。
証券会社を変えることはできますか?
ロールオーバーをする場合、同一の証券会社でのみ移管が可能です。他の証券会社への移管はできません。
積み立てニーサへのロールオーバーのルールはどうなっていますか?
神ニーサから積み立てニーサへのロールオーバーの場合、時価ではなく購入価格で非課税投資枠が消費されます。これにより、値上がりした商品を有利な条件でロールオーバーすることができます。
このブログ記事が、2024年からの新しいニーサ制度に対する理解を深め、投資戦略の参考になれば幸いです。