今回のテーマは、「レバナスをお勧めしない理由5選」です。投資界において「レバナス」という言葉を耳にする機会が増えてきました。レバーとナスを使った料理ではなく、ある金融商品の略称です。レバナスを聞いたことはあるけれど、それがなんだかよくわからないという方、そして買うべきかどうか迷っている方がいらっしゃることでしょう。このブログでは、そんな読者の皆さんへレバナスに対する見解をお話しします。早速、共に学んでいきましょう。
まずは、レバナスについて理解しましょう。レバナスは「NASDAQ 100にレバレッジをかけたもの」の略です。これでも分かりにくいかもしれないので、「NASDAQ 100」と「レバレッジ」に分けてそれぞれを理解しましょう。
目次NASDAQ 100とは何か?
NASDAQ 100は、米国株インデックスの一つで、NASDAQに上場する金融銘柄を除く時価総額上位100社の時価総額加重平均によって算出される株価指数です。このインデックスは毎年12月に構成銘柄が見直されます。2021年9月末現在の上位10銘柄には、Apple、Microsoft、Amazonなどお馴染みの企業名が並んでいます。この10銘柄で全体の時価総額の約53%を占めており、影響度が非常に大きいインデックスです。
NASDAQ 100は、主な構成銘柄であるテック企業の株価上昇の恩恵を大いに享受し、過去10年間で約7倍になっています。特に2017年以降の上昇には目を引くものがありますね。直近5年で見ても約3.3倍になりました。S&P 500と比較しても、NASDAQ 100は2倍以上の高パフォーマンスを見せています。構成銘柄の違いがパフォーマンスの違いを生み出しているのです。
レバレッジとは何か?
レバレッジの元々の意味は「テコの原理」です。テコの原理は、弱い力で重たいものを動かしたり、微小な運動を大規模な運動に変換する物理の原理のことです。金融商品においてレバレッジという言葉は、小額の投資資金で大きなリターンが期待できることを意味します。レバレッジが使われる金融取引はいくつかあり、例えば為替証拠金取引(FX)でもよく用いられます。
レバレッジは上昇局面ではその強みを発揮しますが、同時に横ばいや下落には弱いという特徴も持ちます。2倍レバレッジの商品に投資していた場合、原インデックスの2倍の変化で損益が発生します。上昇と下落を繰り返すような場合は、原インデックスよりパフォーマンスが劣りがちです。
レバナスの仕組みとその魅力
NASDAQ 100にレバレッジをかけた商品であるレバナスは、過去10年で約7倍になったNASDAQ 100にさらにレバレッジをかけたものです。例えば、ティッカー「QLD」というNASDAQ 100の2倍レバレッジETFは、5年で約8.3倍になっています。これに対してNASDAQ 100は約3.3倍です。レバレッジETFは、原インデックスをはるかに凌ぐ上昇を見せています。
このような魅力的なパフォーマンスに見えるため、NASDAQ 100のレバレッジ商品を作れば売れると見込んだ運用会社が日本でもレバナスという名前の商品を作りました。2021年11月現在、一般的にレバナスと呼ばれる商品は2つあります。ダイワアセットマネジメントの「iFreeレバレッジNASDAQ100」と楽天投信投資顧問の「楽天レバレッジNASDAQ100」です。
レバナスをお勧めしない理由
それでは、レバナスをお勧めしない理由を5つご紹介します。
1. 値動きの激しさ
レバレッジがかかっている分、原インデックスよりも値動きが激しくなります。例えば、2020年3月のコロナショック時には、NASDAQ 100が大きく下げたのに対し、QLDはさらに大きく下げ、そのプライスはコロナショック前の半分程度に下落しました。回復には時間がかかり、投資初心者にとっては心理的な負担が大きくなります。
2. 費用の高さ
レバナスの信託報酬は比較的高いです。例えば、iFreeレバナスの信託報酬は0.99%、楽天レバナスは0.78%です。一方で、NASDAQ 100に連動しているETF「インベスコ999信託シリーズ1」の経費率は0.2%です。金融派生商品を使うため、その運用に必要な費用が高くなります。
3. 長期投資に向かない
レバナスは長期で保有することのデメリットが多く、時間をかけて安定して増やせる投資には向きません。金融庁もレバレッジ商品は主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品であり、投資経験が少ない個人投資家が中長期の資産形成を目的として投資する場合には十分な注意が必要としています。
4. 投資信託ならではの取引ルール
レバナスは投資信託であるため、1日に1度しか薬上しません。マーケットが開いている時間ならいつでも取引できるETFとは異なります。薬上は申し込み日の翌営業日ですし、受け渡しは薬上日の5営業日後です。特に売却して現金化する際に時間がかかる点がデメリットです。
5. 積み立てNISAの対象でない
レバナスは積み立てNISAの対象商品ではありません。積み立てNISAは年間40万円までの積み立て投資で得た利益が非課税になる制度ですが、レバナスは対象外です。金融庁が中長期の資産形成に向いていないと注意喚起しているため、積み立てNISAの対象商品にしていないのです。
関連する質問と回答
レバナスとは何ですか?
レバナスは「NASDAQ 100にレバレッジをかけたもの」の略称です。NASDAQ 100は米国株のインデックスで、テック企業を中心に構成されています。レバナスはこのインデックスにレバレッジをかけることで、投資リターンを増幅させる商品です。
レバレッジとは何ですか?
レバレッジはテコの原理を利用して、小額の投資資金で大きなリターンを期待することを意味します。金融商品においては、投資元本に対して数倍の取引を行うことができ、価格変動に対して大きな損益が発生します。
レバナスをお勧めしない理由は何ですか?
レバナスをお勧めしない理由は、値動きの激しさ、費用の高さ、長期投資に向かない点、投資信託ならではの取引ルール、積み立てNISAの対象外である点です。特に初心者には心理的な負担が大きくなりがちです。
レバナスはどのような人に向いていますか?
レバナスは投資経験が豊富で、大きな値動きにメンタルが耐えられる人に向いています。短期的な利益を狙う場合には有効ですが、長期投資には不向きです。
積み立てNISAでレバナスを使えますか?
積み立てNISAではレバナスを使うことはできません。積み立てNISAの対象商品は金融庁によって決められており、レバナスはその対象外です。一般NISAであればレバナスを保有することは可能です。